しげちゃん
イケてるおじいさん 日本代表。
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効率化の恩恵を享受すると、
「人情味」が欲しくなる。
バランス。
ここは人情味あふれる「しげちゃん」が良さそうだ。
鉄板焼系〜一品物、さらには定食類の豊富なメニューと、盛りの良さ、深夜〜朝方に働く労働者のために4時までやっている懐の深さが嬉しい。
人を幸せにするのは「効率」だけでは決してない事を思い出させる。
何より「大将と奥さん」の属人的な魅力がとどめである。
大将の人の良い笑顔やサービス精神からは、何度か行った者にはわかる中毒性の高い「優しさとユーモア」を感じられるし、一見そっけないおかみさんは実は冷静にフィールドを見渡している。
カウンターに座り、メニューを眺める。
※馴染みでない方にはカウンターで数回通う事を進める。理由は後で述べる。
このメニューも愛おしい。
誰が作ったのかわからないが、賑やかで素人臭く、何よりも愛情を感じる。
洒落たブランドコンサル企業や、何処かで見た事のある作品を世に出すクリエイターなどには絶対にたどり着く事が出来ない、A4一枚パソコン出力の両面印刷のペラ紙がつなぐ、しげちゃんとお客さんの濃密なコミュニュケーション。クール。
今日は「豚キムチ定食」にしてみよう。
おそらく僕も含めしげちゃんファンは「ただ大将に会いたい」というようなモチベーションが少なからず、ある。
他の常連さんと大将のやり取りを見ていれば、わかる。
そしてそこから別のお客さんに話題を振っていく大将のトークスキル。というか愛情。
この時に、カウンターに身を置いていれば司会者とひな壇芸人のような関係性が産まれるのだ。まさに人間交差点。
裏を返せば「深夜営業でそこそこ安く酒が飲める鉄板焼居酒屋」としか「しげちゃん」を認識していない人がいるとすればそれは幾分損をしているのではないだろうか。
などと考えていると膳が運ばれてくる。
豚キムチ、スナップえんどうと高野豆腐の煮物、香の物、味噌汁、ごはん。
全て食べたわけではないが、おそらく「定食系」はメインのおかずはしげちゃん。副菜、味噌汁はおかみさんの手作りという構成に思える。
店の魅力が「定食」に表現されているわけだ。
僕は特に「副菜」がお気に入り。
おかみさんが作ったであろう「家庭の味」がいい。
卓上のふりかけがまた泣かせる。
小学校の合宿の食堂なんかで見た事があるタイプのふりかけだ。
これが多めの盛りのごはんを最後まで美味しくいただく際に良い仕事をする。
米粒ひとつ残さず、ペロリと完食。
タバコを吸う。ライターのガスが無いのか、少し火がつきにくかった。
一服しつつ落ち着いていると、大将は扉から見える駐車場に入ってきた車の車種で名前を言い当てる。
常連さんだろう。
入店と共に大将と挨拶と軽口を交わしている。
座敷が埋まる。長っ尻はいけない。
お勘定をお願いすると、しげちゃんはお釣りと一緒にそっとお店のライターをくれた。
「使ってね。」と。
そういう店である。
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